パスポートが六年切れていたからこその偶然:善導寺駅「忠青商行」ノーリサーチ食べ歩き
さて、私のパスポートはもう六年も期限切れ。長すぎて、すっかり記念品として棚の奥にしまっていた。
最近ようやく現実と向き合うことにして、外交部のサイトで「条件付きオンライン旅券更新」を試してみた。申請したのは三週間ほど前。意外にも手続きは想像以上にスムーズで、スピードもなかなか速かった。その瞬間、私は急に悟った。技術は確かにいつも人間のために生まれる。そして政府も、ときどき本当に人間味を見せる。
ただ、外交部へ向かう途中、ずっと道の名前に惑わされた。この辺りは店名にも道路名にも「青島」の二文字が多いのに、なぜか私の目は毎回「青鳥」と自動変換してしまう。最近、政治討論の情報を摂取しすぎたのかもしれない。とうとう網膜まで政治的立場を持ち始めたらしい。
今日は新しいパスポートを受け取るため、わざわざ善導寺駅近くの外交部へ来た。用事が終わったので、次は胃袋の用事を済ませる番だ。
ベテラン食いしん坊として、知らないエリアへの最低限の礼儀は、真面目に調べすぎないこと。近所を気ままに歩き、人生と胃袋のブラインドテストをする。そうして歩いていたら、少し前にIGでかなり話題になっていた「忠青商行」が目に入った。
この一帯は本当ににぎやかで、おいしい店も多い。しかも隣には有名な雙月まである。歩いていると「適当に一軒選んでも、全然適当じゃない」ような感覚になる。
忠青商行は眷村系の台湾料理を売りにしていて、蝦仁飯、昔ながらの揚げ豚排、各種滷味が看板だと聞いていた。ここまで来たら、入って一度勝負してみるしかない。

店内の様子と食事の雰囲気

忠青商行は善導寺駅から近く、徒歩ならおよそ5分以内。用事を終えて、そのままご飯を食べに寄る人にとってはかなり親切な距離だ。歩きすぎて人生を疑い始める心配もない。
店内はそれほど広くなく、2人用テーブル、4人用テーブル、さらに壁沿いの席が一列ある。全体はコンパクトで、だいたい20人ほど入れる規模。それでも動線は悪くなく、強い圧迫感はない。
食事スペースは全体に清潔で明るく、雰囲気も快適。気軽に一食食べるのに向いている。壁際の席にはコンセントまであるので、スマホの電池が切れそうな人にはかなりありがたい。少なくとも食事中、右上のバッテリー表示をずっと見張らなくて済む。
注文はスマホでQR Codeを読み取って完了する。店員とあまり話したくない人にも優しい。静かに画面をスクロールしていれば、そのまま注文を送れる。
ピリ辛手切りウイスキー牛肉まぜ麺
この「ピリ辛手切りウイスキー牛肉まぜ麺」、名前だけ聞くと妙に貫禄がある。食べ終えたらバーのカウンターに座り、人生について“大人らしいこと”を二言くらい語りたくなりそうだ。
ところが実際に食べてみると、正直、かなり頑張ってもウイスキーの香りがほとんどわからなかった。これは「概念的ネーミング」なのだろうか。牛舌餅に牛の舌が入っていないし、老婆餅に奥さんが付いてこないのと同じようなものだ。
でも老婆餅の話でいうと、私はちゃんと妻がいる。そして妻は豚肉を食べない。そのせいで後から出てきた揚げ豚排は、ほぼ私一人で背負うことになった(皮は2切れ手伝ってくれた)。小食の私にとって、この食事はもう食事ではなく、実力と胃袋容量の総合試験である。
麺に話を戻そう。昔ながらの油麺に牛肉そぼろを合わせ、香りはかなり濃厚で、食欲を誘う軽い辛さもある。麺の弾力はちょうどよく、器の底にはたれがたっぷり。混ぜると一口ごとに塩気とうまみ、油のコクが絡み、存在感のあるまぜ麺に仕上がっている。
ウイスキー本人は店にチェックインだけして先に帰ったのかもしれないが、麺そのものはきちんとおいしい。

ゆで青菜
今日の青菜は小白菜。たぶん小白菜。私は植物学者ではないので、食いしん坊としての勘だけで判断するしかない。
店は鶏だしで青菜のうまみを引き出していて、一見普通の家庭料理に少し丁寧さが加わっている。ただ茹でて醤油膏をかけて終わり、というタイプではなく、ちゃんと面倒を見てもらった青菜だ。
これは合格。

花干の煮込み & 滷味三種盛り:昆布、豆干、大根
ここの花干の煮込みには魂がある。
花干の煮込みを一口噛めばすぐわかる。滷味鍋の横に立って雰囲気だけ吸ったようなものではなく、特製だれのエッセンスを本当にたっぷり吸っている。ゆっくり噛むと、漢方系スパイスのほのかな甘い香りも現れ、飽きずに食べ続けられる。
滷味三種盛りの煮汁も、同じく漢方系の香りが軸。最初に塩気とうまみが来て、そのあと香辛料がゆっくりほどけ、最後に少し甘い余韻が舌に残る。
特に触れたいのが豆干。単品でも盛り合わせでも、見た目は色が薄くて攻撃力ゼロに見えるが、実際には細かな穴に煮汁をたっぷり含み、かなり味が染みている。
しかもここの豆干は、とんでもなく薄く切られている。料理人は以前、精密工業でもやっていたのではと疑うほどの薄さ。でもこの薄さが個性になっていて、煮汁と豆干本体の比率がちょうどよく、食べ進めても重たくならない。


忠青の台湾風揚げ豚排
これは王道の昔ながらの台湾式揚げ豚排。
表面に薄くサツマイモ粉をまとわせて揚げる。火入れは上手で、外はサクサク、中には肉汁が残る。カラカラに揚がって、食後すぐ水に救助を求めたくなるような豚排ではない。
味はまさにおばあちゃんの家を思わせる昔ながらの台湾味。シンプルで、まっすぐで、香りがはっきりしている。派手な演出はなく、きちんと揚げた一枚の豚排だ。
唯一惜しいのは、妻が豚肉を食べないこと。この一皿はほぼ私の単独作戦になった。おいしいのは間違いない。でも誰かが半分手伝ってくれたら、私はもっと余裕を持って、もう少し優雅な大人らしく食べられたはずだ。

本日のダークホース:入口の無料冷たい涼茶
最後に、店の入口にある奉茶コーナーの「無料涼茶」は絶対に紹介しておきたい。
最初は「無料なら、飲まない理由はない」くらいの気持ちで一杯注いだだけ。それが一口飲んだ瞬間、危うくこのお茶だけで別の食レポを書きたくなった。
この涼茶、本当に冷たい。「一応冷たいです」程度ではなく、さっきまで冷凍庫にいたのではと疑うくらい冷たい。しかも、さっき7-11で買った純喫茶よりさらに冷たい。この事実のおかげで、私は「無料」という二文字に改めて敬意を抱いた。
口当たりはすっきり、爽やかで、脂っこさを消す力がものすごい。濃い滷味、まぜ麺、揚げ豚排を一巡したあと、この一杯は人生の光のようだった。魂の奥から脂を連れ出すためだけに派遣された光である。
正直、今日いちばん印象に残ったのは、ウイスキー牛肉まぜ麺でも揚げ豚排でもなく、この無料の涼茶だったかもしれない。


まとめ
今日は本来、善導寺駅の近くへ新しいパスポートを受け取りに来ただけだった。それが気づけば「忠青商行」をノーリサーチで試すことになった。
全体として、忠青商行は濃いめで家庭的、そして眷村系台湾料理の下地を感じる味。ピリ辛手切りウイスキー牛肉まぜ麺はウイスキーをあまり感じないものの、麺自体は香りが強く、たれもしっかり。滷味は安定しており、特に花干の煮込みと薄切り豆干が記憶に残る。忠青の台湾風揚げ豚排は、王道のおいしい昔ながらの台湾式揚げ豚排だ。
そして入口の無料涼茶については、これだけ言わせてほしい。本日の最大のダークホースだった。
パスポート更新はついでで、キンキンに冷えた涼茶を発見したことこそ今日最大の収穫。次に善導寺駅へ来たら、忘れずに涼茶を一杯注いでほしい。(いや違う、まぜ麺を食べるのを忘れずに。)