✨ 編集部のとっておき短評
康寧路の曲がりくねった路地には、「優しさ」という名の小さな救いが隠れています。関西生まれの泡系鶏白湯。その細かな泡は、照明の下で真珠のようにきらめきます。街の喧騒にすっかり辛抱を使い果たした日も、木の温もりを感じるこの空間に入り、湯気の立つラーメンに向き合えば、それだけで暮らしが慰められる。京都まで行かなくても、東湖の角を曲がれば、心の居場所が見つかるのです。
● 玉子入り鶏白湯ラーメン
- 泡立つスープはきめ細かくなめらかで、繊細なバターを思わせるコクと塩味があります。全粒粉を使った小麦感のある麺と交わり、厚みのあるリズムを生みます。
- 肉の食感は三つの層。低温調理した鶏むね肉の柔らかさ、豚もも肉の香りと弾力、そして牛肉を思わせる脂の入り方をした豚肩ロースのチャーシューです。
- 低温調理肉のひんやりした生っぽい感触が気になるなら、熱々の白湯に沈めてみてください。味わいが少しずつ目を覚ます、もう一つの楽しみ方です。

● 玉子入り鶏塩ラーメン
- 泡系の濃厚さに対して、鶏塩スープは爽やかな夜風のよう。そばを思わせる極細麺と合わせ、澄んだ旨味と甘みに、職人の正確なバランス感覚がにじみます。

● チャーシュー丼
- 低温調理の角切り肉と日本式マヨネーズは、炙りによって甘さと塩味が織りなす調べへ。鶏白湯をひと口分残してスープご飯にするのがおすすめです。この食事に、いちばん美しい余韻を残してくれます。

● 玉子入り鶏醤油ラーメン
- 三種類の醤油が持つ深みを合わせ、後に戻る甘みは滴鶏精よりも凝縮された印象。強い味の刺激を求める、疲れた心に向いた一杯です。

全粒粉麺に見える小さな茶色の点を眺めてみてください。それは小麦の、ありのままの息づかい。ラーメンが来た最初の五分はスマホを置き、なかなか消えない泡の美しさをただ感じてみる。感覚がそっと洗われる、小さな時間です。
📌 味を訪ねて、最後に
麵屋昕家で見つけたのは、おいしさだけではありません。物価が揺れる中でも初心を守り続ける姿勢でした。半熟玉子の黄身がとろりと流れる瞬間、小さなつらさまで報われた気がします。仕事帰りを生き抜く美学は、時にこんなに単純です。濃いスープ一杯、チャーシュー丼、そしてまた暮らしを好きになる理由。
