板橋には不思議な店がある。
食べたことがなくても、必ず聞いたことがある。
六必居潮州一品沙鍋粥 (民權店)/板橋美食(Liubiju Chaozhou Casserole Porridge (Minquan Branch))がそうだ。
名前を出すと皆がうなずく、そんな店。
冬はさらにすごい。
粥を食べるというより、席を奪い合う。
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まず砂鍋粥から。
卓上に来てもまだ煮立っている。
存在感たっぷりの煮立ち方だ。
スープには甘みがある。
砂糖ではなく、海鮮をゆっくり煮出した甘みだ。
夜中にお腹が空いて、
熱いスープをひと口飲んだような感じ。
全身が静かになる。
具は多い。
でも正直に言えば――
添え物にすぎない物もある。
最後に覚えているのは、やはり粥そのものだ。
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次は塩漬け卵黄豆腐。
この料理は油っぽくなりやすい。
でもこれは違う。
外は塩気とうま味、中は柔らかい。
口は悪いけれど、
本当は心の柔らかい人のようだ。
ひと口、またひと口。危険だ。
うっかりご飯一杯を平らげてしまう。
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最後は月形エビ揚げ。
ごく普通の名前。
でもおいしくないほうが難しい。
外はサクサク。
中は弾む。
コンビニの冷房のようなもの――
普段は特に褒めない。
でもなければ腹が立つ。
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六必居には実は大した仕掛けがない。
「皆が食べる物」をきちんと作るだけ。
すると気づく――
どうしてまた予約が取れないのだろう。